テンプレートと例文で分かる業務委託契約書の書き方
業務委託契約書は、依頼内容や報酬、期間などを記載し、当事者間の認識齟齬を防ぐ重要な書類です。 テンプレートの例文を引用しながら、各項目毎に、購買稟議書の書き方を分かりやすく説明します。
業務委託契約書とは何ですか?
業務委託契約は、委託者が受託者に対して、何らかの業務を委託する内容の契約です。 「業務委託契約」という用語自体は法律上の用語ではなく、委託する業務の法的な性質により、主に「請負契約」「委任契約(準委任契約)」「請負・準委任混合型」に分類されます。
項目
業務委託契約書は、委託内容により、様々なフォーマットがありますが、 簡易的に利用する際に必須となる項目を選出しました。以下では項目ごとに内容を説明します。
- 用件
- 委託者
- 受託者
- 業務内容
- 契約開始日,契約終了日
- 委託料
- 支払方法
- 検査
- 再委託
- 守秘義務
- 禁止事項
- 契約解除
- 管轄裁判所
- 反社会的勢力の排除
- 協議
用件
対象となる取引の概要を示して、どういう内容の書面を締結しようとしているのか、明らかにします(「契約対象」の特定)。
テンプレート記載例
委託者と受託者は、委託者が受託者に対し、業務を委託するにあたって、次のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
委託者
当該契約に拘束される当事者名を明らかにします。委託者は業務を委託する当事者になります。
テンプレート記載例
〒100-0000 東京都大阪区名古屋市123-456 サンプルビル30階101号室
株式会社サンプル委託
野々村 健一
受託者
当該契約に拘束される当事者名を明らかにします。受託者は業務を受託する当事者になります。
テンプレート記載例
〒900-0000 東京都大阪区福岡市987-654
雛形 涼子
業務内容
委託する業務内容を記載します。 業務内容に関しては具体的な内容を記載します。業務の範囲などについても細かく記載しておくことでトラブルを防ぐことが出来ます。
以下の記事に、代表的なパターン毎に業務内容の例文を紹介していますので、参考にしてください。
テンプレート記載例
委託者はホームページの制作業務(以下「本業務という」)を受託者に委託し、
受託者はこれを受託する。
契約開始日,契約終了日
開始日と終了日を指定し、契約期間を指定します。
テンプレート記載例
2023年4月1日 ~ 2023年9月30日
委託料
本契約における報酬額を規定します。
- 本件業務に関する報酬額は、400 字詰め原稿用紙 1 枚あたり 5,000 円とする
また経費などが発生する場合は、以下のように規定を設けます。
- 交通費、通信費等諸経費の取扱いについては、委託者と受託者で協議の上、決定する。
テンプレート記載例
本契約の報酬は、金50万円とする。
支払方法
取引の核となる金銭のやり取りを規律する項目です。 以下の3つから構成されます。
- 対価関係を定める部分
- 支払方法を定める部分
- 振込手数料の負担を定める部分
テンプレート記載例
委託者は、本業務の委託料を、本業務の成果物の納入日が属する月の末日を締日として、
翌月末日までに受託者の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。ただし、振込手数料は委託者の負担とする。
検査
物品・製品・成果物の納入や、委託業務の実施があった場合、納入・実施の検査をします。 検査については、民法にはほとんど規定がありません。 このため、検査に関する契約内容は、すべてを業務委託契約に規定する必要があります。
以下の3つから構成されます。取引の核となる金銭のやり取りを規律する項目です。
- 検査項目
- 検査方法
- 検査基準
テンプレート記載例
1.委託者は、受託者から納入を受けた成果物について、納入日の翌日から起算して5営業日以内に
種類、品質及び数量について検査し、その合否の結果を受託者に通知しなければならない。
2.前項の期限内に前項の通知が受託者に到達しない場合、前項の検査に合格したものとみなす。
再委託
再委託は原則として請負契約の場合は可能ですが、委任契約の場合は不可とされています。
請負契約では、仕事の完成を目的とするため、その過程は問われません。極論を言えば、発注元が望む業務がこなされば誰が行っても良いということになります。 そのため、基本的に再委託に関する制限はありません。
対して、委任契約では委託先に対する信頼を基にして契約を結ぶため、原則として再委託は不可とされています。 ただし、請負契約でも発注元に断りなく再委託をすることは、トラブルの元となります。
再委託に関しては、事前に契約書へ条項を入れておくことが不可欠です。 再委託が可能であっても品質担保やセキュリティ保持を目的とし、一般的には事前に書面で承諾を得ることが求められます。
テンプレート記載例
1.受託者は、あらかじめ書面により委託者の承諾を得なければ、本業務の全部又は一部を、第三者に再委託することができない。
2.受託者は、前項の規定により第三者に再委託する場合も、本契約に規定する受託者の義務を免れず、かつ第三者に対しても本契約上の義務を遵守させる義務を負う。
守秘義務
民法を始めとして、一般的な業務委託契約に適用される法律には、秘密保持義務が規定されていません。 このため、業務委託契約では、情報の開示者は、情報の受領者に対して、秘密保持義務を課します。
特に、有用性が高い技術情報、ノウハウ、顧客情報などを開示する場合は、不正競争防止法の保護を受けるためにも、秘密保持義務とこれに関連する条項を規定する必要があります。
テンプレート記載例
受託者は、委託者の承諾なくして、本契約に関連して委託者から秘密であることを明示して開示された営業上又は技術上の秘密情報を、
第三者に対して開示、漏洩してはならず、本契約の履行以外の目的で使用してはならない。
禁止事項
業務を行うにあたり、受託者に禁止すべき内容があれば記載します。
テンプレート記載例
受託者は、委託者の顧客と委託業務又は委託業務に類似する業務につき直接取引又は直接取引を目的とした営業行為を行ってはならない。
契約解除
当事者(委託者、受託者)に契約違反や、契約を履行できないといった問題が発生した場合の、契約解除について定めます。
テンプレート記載例
委託者及び受託者は、相手方が本契約に違反したときは、相当の期間を定めた催告をし、催告期間が終了しても違反が是正されない場合、本契約を解除できる。
管轄裁判所
紛争が顕在化した際に威力を発揮する条項です。この条項があることにより遠方の裁判所で審理が行われることを防ぐことができます。
テンプレート記載例
本契約に関する一切の紛争は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
反社会的勢力の排除
当事者(委託者、受託者)が反社会的勢力に属している場合や反社会的勢力であることを騙った場合に相手方は契約を解除・解約できる旨を記載します。
テンプレート記載例
委託者及び受託者は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、
その他これに準ずる者(以下「反社会的勢力」という。)のいずれにも該当しないことを表明し、
かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
協議
契約に定めがない事項や、契約の解釈に関する疑義が生じた場合に、当事者が誠実に協議して解決を図るべき旨を定めた条項です。
テンプレート記載例
本契約に定めのない事項、ならびに本契約の解釈について疑義を生じたときは、当事者間で誠実に協議のうえ解決する。
まとめ
業務委託契約書は、依頼内容や報酬、期間などを記載し、当事者間の認識齟齬を防ぐ重要な書類です。 フリーランスや個人事業主として仕事を受託する際は、忘れずに作成するようにしましょう。